新しい挑戦
リガク磁性流体シールは、日々の研究開発を経て進化を続けています。ニーズとシーズを考慮し、新規品の創出を行っていきます。
大口径、高速回転磁性流体シール
磁性流体シールは非接触の回転シールであり、高速回転においても安定的に真空状態を維持できるシールとして採用されています。
しかしながら、通常、回転体の周速は20m/secが限界とされており、それ以上になると磁性流体の(摩擦⇒攪拌)熱による劣化、ベアリング劣化等が発生し、短時間稼働でシール性能に不具合が生じます。
現在、大口径のシャフト、高速回転下で周速30m/secを実現しており、今後、長期間安定稼働のため、磁性流体、シールユニットの開発を行い、実現を目指しています。
磁性流体シールの多軸化
近年、真空装置内のウェハ搬送用ロボットアームの多機能化により、磁性流体シールの多軸化引合いが増えてきています。多軸であればあるほど、より複数でのアームによる伸縮、回転動作が可能になります。
しかしながら、全ての軸において位置制御を精密に行わなければならず、多軸になればなるほど設計難易度、製作難易度はあがります。
リガクでは7軸磁性流体シールの設計を可能にしており、多軸化とともに従来の磁性流体シールの機能である高寿命、コンタミレスを特徴として、オイルシール等の汎用品との差別化を図っております。
高加圧磁性流体シール
通常は真空チャンバーの軸封用途として使用されている磁性流体シールですが、現在、加圧チャンバー用途でのお引合いも増えてきております。
通常製品では0.2Mpa(2気圧)程度が加圧限界ですが、磁性流体シール部構造を耐圧仕様に変更することにより、1Mpaの高加圧状況下でも使用することができます。
超高精度、面振れ防止磁性流体シール、1/1000以下へ
近年はALD装置に代表されるように、原子単位での成膜技術が発達しており、応用されています。そのためにはステージの面振れをいかに抑えるが、均一な成膜を行う上でキーとなっています。リガクではこの面振れを極限まで抑えるため、部品、ユニットの高精度化を行っており、最近だと面振れ精度2/1000での設計を達成しました。今後は究極1/1000以下の超高精度を目指しております。
低温領域向け磁性流体シール
現在、チャンバー内での極低温領域での使用、ニーズが高まっています。リガクでは独自のシール機構で断熱機構を付帯すると共に、低温向け磁性流体を採用しております。通常の磁性流体は10℃以上での使用を推奨スペックとしていますが、現状の開発機構では-15℃付近での使用を可能としました。